これからの医療の話をしよう

日々の診療と世界の路上の間から、日本の医療について思うことを。

医療ビッグデータ新法を考える

写真は1月10日の読売新聞の第一面。(ちゃんとアップできてるのか?)

政府は2018年中に、「医療ビックデータ新法」の設立を目指しているそうです。

読売新聞は政府の御用機関なので、「患者の個人情報」を「個人の医療情報」と言い換えたりして、話を分かりづらくしようとしていますが、僕が理解した内容は以下の通りです。

①政府が「学会や医薬品開発を行っている団体」を認定機関に指定する。

②認定機関は、病院や薬局に「患者の治療歴、検査結果、投薬歴、副作用などの情報」の提供を呼びかける。

③情報提供するかどうかは病院に決定権があり、患者の同意は不要。

④「学会や医薬品開発を行っている団体」は情報を匿名化した後、「大学、製薬会社などの研究機関」に情報を提供する

これをどう思いますか?

因みに、①カジノ法案を通す政府が指定する「認定機関」というのは、製薬会社の外郭機関でしょう。(他に”医薬品開発を行っている団体”がありますか?)

情報提供を呼びかけられた病院側は、情報を提供を拒否しないと思います。
普段から製薬会社の営業が入り浸っている民間病院はもちろん、公的病院にも学会という上層部から圧力がかかることが予想されますので。

しかも、情報提供に際して、患者の同意は不要とすると書いてあります。

つまりこの法案の心は
「製薬会社は日本中の電子カルテ上の情報に自由にアクセスできる」
ということではないでしょうか?

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これによって得をするのは誰でしょう?

まず、データにアクセスできる研究者です。
これまでいちいち同意を取って集めていた情報を、勝手に好きなだけ使えるようになります。

そうやってデータ解析した結果は、製薬会社の商品開発とマーケティングに応用されます。
これまで莫大なコストをかけて集めていた情報が、無料で使いたい放題です。
この法案の90%は、大製薬会社の利権の為にあると思います。

そして、残りの10%…

この法案を通した政府の人達は、当然密約を結ぶでしょう。
「お前のところを認定機関にしてやるから、必要に応じて俺の言う通り情報を提供するように」と。

カルテからは多くのことがわかります。
アメリカは入手したカルテから、北朝鮮金正日の寿命をある程度予想していました。

僕が安倍首相だったら、山本太郎さんと蓮舫さんのカルテ情報は確実に取り寄せます。
もしかしたら山本太郎さんのカルテには、かつて風俗で性感染症にかかったことがあると書かれているかもしれません。
蓮舫さんは眠れなくて睡眠薬を飲んでいるかもしれません。
そういうことがわかっていると圧倒的に有利です。

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「別に狙われる理由もないし、個人情報になんてどうでもいい」
多くの日本人はそうやって感じていると思います。

確かに直接的で目に見える被害はないかもしれません。
けれど考えて下さい。

特定機密保護法、共謀罪、そしてカルテ情報筒抜け法案…

政府のやることに反対する人間が、正当な手続きで処分される社会がすぐそこまで来ています。

共謀罪が成立したら、僕も医療大麻とか言ってる時点で逮捕されるんじゃないかと心配しています。)

そうやって誰もNoと言わなくなった後、僕らはどういう末路を辿るのでしょうか?

これは僕の杞憂でしょうか?

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